統合失調症について
統合失調症は、幻聴や妄想といった症状に加え、思考や感情にまとまりがなくなるなどの行動が見られる精神疾患です。発症の多くは思春期から40歳頃までの年齢層で、日本では約100人に1人がかかるとされています。
この疾患は、脳内の神経ネットワークに何らかの異常が起きることで発症すると考えられており、先天的にストレスへの耐性が低い方に強いストレスがかかることで脳機能に不調をきたし、症状が現れるとされています。ただし、詳しい原因はまだ完全には解明されていません。 統合失調症の症状は主に「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」の3つに分類されます。
それぞれの特徴は以下の通りです。
陽性症状
現実には存在しないものを「ある」と感じる症状で、幻覚や幻聴、妄想などが該当します。例えば、実在しない声が聞こえる、周囲に監視されていると思い込むなど、現実との区別がつきにくくなるのが特徴です。
陰性症状
発症からしばらくして現れることが多く、感情表現が乏しくなったり、意欲の低下が見られるようになります。何事にも無関心になり、身だしなみへの配慮がなくなるほか、人との交流も避ける傾向が強まります。
認知機能障害
記憶力、注意力、計画性、判断力などの認知機能が低下します。これらは統合失調症の患者様に共通して見られやすい特徴の1つであり、日常生活や社会活動にも大きな影響を及ぼします。
このような症状に心当たりがある方はご相談ください
- 環境音の中に、誰かの声が混じって聞こえる
- 周囲に誰もいないのに、人の声が聞こえる
- 近くの方の咳払いが、自分への警告だと感じる
- 通りすがりの人の中に敵が潜んでいて、自分を狙っている気がする
- 道を歩いていると、周囲の人が自分を見ているように思える
- 警察に尾行されていると感じる
- 自分の考えが声となって聞こえてくる
- 誰かに思考や体を操られているように感じる
- 自分の考えが世界中に知られてしまっている気がする
- 普段の会話や行動、仕事がうまくできず、生活に支障を感じている など
統合失調症は、原因がまだ完全には解明されておらず、治療に時間がかかる場合もありますが、お薬の進歩や早期介入によって、症状を安定させることができるようになっています。 気になる症状がある場合は、できるだけ早めにご相談ください。
治療について
統合失調症の治療は、薬物療法と心理社会的療法の両面から行うのが基本です。薬物療法では、抗精神病薬を継続的に服用することで、症状の安定を図ります。ただし、抗精神病薬だけでは十分に効果が得られない場合には、抗うつ薬や抗不安薬を併用することもあります。
さらに、お薬による治療に加えて、心理社会的なアプローチも重要です。具体的には、ご自身の病気について理解を深めるための「心理教育」、日常生活を整え社会復帰を目指すための「生活指導(例:規則正しい生活習慣の確立)」、そして心身のリフレッシュや対人関係づくりを促す「レクリエーション療法」などが行われます。