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不安障害(不安神経症)

不安障害(不安神経症)について

不安障害(不安神経症)について不安という感情は誰にでもある自然な反応ですが、不安障害ではその不安が過剰になり、日常生活に支障をきたすようになります。強い不安や緊張が続くことで、家事・仕事・学業といった日常の活動が困難になる精神疾患です。

主な症状としては、動悸や発汗といった身体的な不調に加え、根拠のない恐怖感や不安感にとらわれるといった精神的な症状も見られます。

例えば、以下のような状態が続く場合、不安障害の可能性があります。

  • 強い不安や緊張のために学校や仕事を休んでしまう
  • 人の視線が極端に気になり怖くなる
  • 人前で文字を書こうとすると手が震える
  • 電話に出るのが怖く感じる
  • 緊張のあまり、人前でうまく話せない
  • 大事な予定が近づくと落ち着かなくなったり体調を崩してしまう
  • めまいや吐き気が続くが、検査では異常が見つからない

不安障害(不安神経症)の症状

不安障害にはいくつかのタイプがあり、症状の現れ方も様々です。
ここでは代表的な3つのタイプをご紹介します。

社会不安障害

人前で話す、食事をする、字を書くなど、注目を集めるような場面で強い不安を感じます。「失敗して恥をかくのでは」「変に思われるのでは」といった思いから、対人場面を避けるようになるケースもあります。不安の程度によっては、動悸や吐き気、手の震え、発汗などの身体症状が現れることもあります。

全般性不安障害

特定の理由がないにもかかわらず、あらゆることに対して慢性的な不安や心配が続きます。日常生活で常に落ち着かず、集中できなかったり、そわそわしたりといった精神的な不調が目立ちます。また、頭痛、肩こり、筋肉のこわばり、めまいなど身体の不調も伴うことが多く、内科を受診する方も少なくありません。

限局性恐怖症

特定の対象や状況に対して強い恐怖を感じ、それが生活に支障をきたすタイプです。例としては、高所恐怖症、閉所恐怖症、先端恐怖症、暗所や雷、飛行機に対する恐怖などがあります。自分ではコントロールできず、回避行動を取ってしまうことも多いため、日常生活に影響が出るようであれば医療機関への相談をお勧めします。

身体的症状の例

  • のどが詰まる感じや違和感
  • 筋肉の緊張や痛み
  • 吐き気、下痢、便秘などの消化器症状
  • めまいや動悸

精神的症状の例

  • 集中力が続かない
  • 気持ちが落ち着かず、そわそわする
  • 不安や恐怖から物事を避ける行動を取ってしまう
  • 不安が強く、自分では抑えきれない

不安障害(不安神経症)の原因

不安障害(不安神経症)の原因不安障害は、精神的なストレスに加え、職場や家庭環境などの外的なストレス要因、さらには遺伝的な体質も影響するとされており、こうした複数の要因が重なったときに発症しやすくなると言われています。

不安障害(不安神経症)の診断

全般性不安障害

不安や心配といった感情は、多くの人にとって自然な反応です。しかし、根拠が曖昧なまま不安が次々と生じたり、不安の対象が本来の目的から逸れて広がっていくような場合には、全般性不安障害の可能性が考えられます。

診断にあたっては、ご本人の訴えだけでなく、「以前より不安を口にすることが増えた」といったご家族の指摘がきっかけとなるケースもあります。この障害では、明確な理由がなくても、日常のあらゆることが不安の対象になってしまう傾向があります。また、ご本人が「いつから不安が強くなったのか」を自覚していないことも珍しくありません。

社交不安障害

日本では「対人恐怖症」や「あがり症」として広く知られている症状も、社交不安障害に含まれることがあります。この疾患では、「自分の言動や見た目が他人に不快感を与えてしまうのではないか」という強い恐怖が特徴です。国際的な診断基準であるDSM-5では、「他者から否定的な評価を受けることへの恐怖」と定義されていますが、日本の文化や価値観との違いも考慮されるべき点として指摘されています。

診断のポイントとしては、他人の視線を浴びるような社交的な場面で、極度の不安や恐怖を感じるかどうかが重要です。例えば、発表や会話、会食などに強い緊張を覚え、それを避けようとする行動が日常に影響を及ぼしている場合、診断対象となる可能性があります。 こうした症状は、内向的な性格の方に多く見られることもありますが、「不安を自分でどうにもできず困っている」「本当は避けたくないのに避けてしまう」「つらさを改善したい」と感じているかどうかが、治療を検討する上での大きな判断材料になります。

不安障害(不安神経症)の治療

不安障害(不安神経症)の治療不安障害の治療では、どのタイプであっても基本的に「不安を和らげる薬物療法」と「カウンセリング」を組み合わせたアプローチが中心となります。まずは強い不安や動揺を抑えるため、患者様の症状や状態に応じて適切な薬剤を用い、不安を和らげることを目指します。お薬の効果により、カウンセリングなど心理的な支援への抵抗感も軽減されやすくなります。

全般性不安障害では、不安が連鎖的に広がり、精神的な疲弊を引き起こしている方が多く見られます。また、不安の影響が治療やお薬にまで及ぶこともあり、こうした不安感が診療の妨げになることもあります。これは全般性不安障害の特徴でもあります。 そのため、十分に効果が証明されている薬剤を用いて状態を安定させることが重要です。さらに、「これも確認したい、あれも心配だ」と次々と不安が湧いてくる方も少なくありません。

こうした場合には、専門のカウンセラーが対応し、治療の目標を一緒に整理しながら進めていきます。カウンセリングを通じて不安の根本にアプローチすることは、回復において非常に重要なステップとなります。 社交不安障害・限局性恐怖症では、特定の場面に直面した際に起こる強い緊張や身体症状(動悸、震えなど)に対応するため、必要に応じて頓服薬(必要時に服用するお薬)を処方することがあります。

適切なお薬を見つけることで、行動範囲や社会的な活動が制限されないようサポートしていきます。 また、カウンセリングでは、不安や恐怖を引き起こす考え方の癖に気づき、それを見直すためのサポートを行います。リラクゼーション法の習得や、不安を感じる場面に少しずつ慣れていく練習を取り入れることで、徐々に回避傾向を和らげていきます。

不安障害(不安神経症)に関するよくある質問

全般性不安障害と社交不安障害の関係性は?

現在の診断基準であるDSM-5では、「不安症群(不安障害群)」という大きなカテゴリの中に、パニック症(パニック障害)、広場恐怖症、社交不安障害(社交不安症)、そして全般性不安障害(全般不安症)が含まれています。それぞれの疾患は、不安障害という枠組みの中の1つのタイプとして分類されています。

全般性不安障害には原因がありますか?

明確な原因は解明されていませんが、発症には性格傾向や遺伝的素因、環境的ストレスなど、複数の要因が重なって影響していると考えられています。

不安障害と併発しやすい病気はありますか?

パニック障害、うつ病、社交不安障害などが併発リスクが高いと言われています。

発症しやすい方の特徴はありますか?

不安障害になりやすい特定の「性格」はありませんが、統計的には女性の方がやや発症しやすいといわれています。なお、ストレスの受け止め方や発散の仕方は人それぞれ異なります。性別に関わらず、ストレスと上手く向き合い、抱え込まないことが大切です。

不安障害の治療はどのような内容ですか?

近年の研究では、不安障害の発症に脳内の神経伝達物質が関与していることが明らかになってきました。そのため、これらの神経伝達に働きかける薬物療法が有効とされています。